人口270万人を超える大阪に、ちょっと特別なお店があります。エストニアのデザインと食文化を日本に届けたいという想いから、日本人夫婦・岩野弘義さんと仁美さんが立ち上げたショップ兼カフェ「Ruja+285Blue」です。
もともとはスウェーデンやフィンランドのファッションアイテムを扱っていた岩野さんご夫妻。しかし2018年、音楽業界の友人がエストニア共和国100周年を祝うコンサートを日本で開催したことをきっかけに、エストニアのデザインを紹介するようになり、その魅力にどっぷりとハマっていったと言います。
その後、ご夫妻は幾度となくエストニアを訪れ、デザインや食文化を深く学び、2024年4月に大阪で「Ruja+285Blue」をオープン。エストニアの美意識や味を、日本の人々に伝える場所をつくり上げました。
日本人の心にも響く、エストニアのデザイン
店内に一歩足を踏み入れると、北欧風のシンプルで洗練された空間が広がります。棚には、Reet Aus、Kelpman Textile、Emma Leppermann、Anneli Tammik、Lentsius Design、Maria Rästa Designといった、厳選されたエストニアのファッションブランドが並びます。
中でもReet Ausのアップサイクルファッションは日本のお客様に大人気。「コンセプトが明確で、デザインも目を引くし、着心地もいい。日本の方の感性にフィットしています」と弘義さんは語ります。

大阪のショップ&カフェ「Ruja+285Blue」。写真:個人蔵
大阪で味わうエストニアの香りと味
「Ruja+285Blue」では、カフェも併設されており、エストニア・タルトゥ発のコーヒーブランド「Karlova Kohv」のフィルターコーヒーやラテが好評。仁美さんによると、「日本のお客様は、北欧式ローストのコーヒーに興味津々」なのだとか。
そのほかにも、オーガニック生はちみつ「Honest Nectar」は、純粋な原材料と美しいパッケージで注目を集めています。チョコレート(Roosiku、Kalev)、クラフトビール(Pühaste)、シードル(Jaanihanso)、お茶(Põhjala Teetalu)なども取り扱っており、日本のの食品専門商社と連携しながら輸入しています。
日本人の心にも響く、やさしいエストニアの味わい
「Ruja+285Blue」のランチメニューは、エストニアの伝統料理にインスピレーションを受けて生まれた、どこか懐かしくて、ほっとするようなラインナップ。自家製パン、素材の旨みを引き出したシンプルなお料理、そして手づくりのケーキや焼き菓子まで、体と心にやさしい味が揃います。
「エストニア料理は、余計なものを加えず、素材本来の風味を大切にするシンプルさが魅力。日本の方の味覚にもきっと合うと信じています」と、オーナーの仁美さんは微笑みます。
エストニアへの深い愛情を胸に、ご夫婦はカフェとショップの運営だけでなく、日本各地の有名百貨店でのポップアップイベントにも精力的に参加。エストニアの美しいデザインと素朴で奥深い味を、より多くの人々へと届けています。

「Ruja+285Blue」のショップとカフェのインテリア。写真:個人蔵
これから広がる新しいエストニアの味
先日開催された国際食品見本市「FOODEX」では、新たなエストニア産品との出会いも。カマ(伝統的穀物粉)、缶詰スプラット、各種チーズ、ベリージュース、Revalaのアイスクリームパウダー、そしてエストニアの自然とサウナ文化にインスパイアされた白樺風味のビールなど、岩野さんは多くの新商品を日本市場に紹介する計画です。
岩野夫婦の取り組みは、異文化への敬意と好奇心が、やがて情熱とビジネスに発展した好例と言えるでしょう。エストニアのデザインと味覚は、いま大阪の街角で、日本の人々の心に静かに、しかし確実に広がっています。
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